合同会社は設立手続において株式会社より簡易である一方、株式会社より手続が煩雑、有体に言えば面倒くさい点もあります。

その1つが役員の変更です。

株式会社においては定款に特段の定めがなければ、取締役は株主であることは必要ありません。

これに対して合同会社においては、業務執行社員は文字通り社員(出資者。株式会社における株主に相当)でなければなりません。

例えば、役員として代表取締役A(株主として全株を保有)、取締役B、Cがいる株式会社において、Dを取締役としたい場合は株主総会でAが議決権を行使して選任決議をすれば足ります。Dが株式を取得し、その承認決議をする必要はありません。

これに対して役員として代表社員A、と業務執行社員B、Cがいる合同会社において、Dを新たに業務執行社員としたい場合は、Dは社員とならなければなりません。

社員であるAまたはB、Cから出資による持分の全部または一部を譲り受ける、あるいは、新たに出資をするなどです。

例えば、資本金100万円の合同会社で出資額がAが50万円、B、Cがそれぞれ25万円である場合に、DがBから持分25万円を全部譲り受ける、または、Aから持分50万円のうち25万円を譲り受ける、新たに25万円を出資するなどです。

先の株式会社の例では、株主総会で選任の決議をすれば足りるのに対し、合同会社では業務執行社員として選任する点のほか、前提として社員として加入する点について原則として全社員の同意が必要となります。

また、新たに出資をしたときは資本金の額が増加するため、その旨の登記も必要となります。

この面倒な点が、合同会社が株式会社に比べて選択されることが少ない理由の1つと考えられます。

 

関連記事

【合同会社】業務執行社員の加入(就任)登記