合同会社設立の流れ

合同会社の設立手続も大枠は株式会社と異なりません。株式会社より手続、書類の一部が省かれています。

①設立事項の決定

②定款の作成

③資本金の払込

④登記申請・添付書類の作成

⑤設立登記申請

⑥登記事項証明書・法人印鑑証明書取得

以下は、資本金100万円、社員(出資者。株式会社の株主相当)がABの2人、業務執行社員(株式会社の取締役に相当)もABの2人の比較的小規模な会社を想定した設立の流れとなります。

出資額はAが70万円、Bが30万円。Aが代表社員(株式会社の代表取締役に相当)、Bが業務執行社員とします。

会社の設立事務は、社員となる者ABが行います。

 

あらかじめ用意しておくもの

(1) 代表社員の個人実印
設例ではAの実印です

(2) 代表社員の印鑑証明書 1通
設例ではA1通です。

(3)代表社員の個人の通帳
設例ではAの個人の通帳を資本金の入金口座として用意します。

(4)会社の実印
個人実印とは別に会社の実印を作成します。後述する商号調査の結果、商号の利用が可能と判断出来たら作成します。

 

①設立事項の決定

会社の商号やメンバー、機関構成など、会社の基本事項を定めます。

設例のような小規模な会社の場合、具体的に定めるのは概ね以下の事項です。

・商号

・会社の所在場所

・事業目的

・資本金
設例では100万円です。

・各社員の出資額
Aが70万円、Bが30万円。

・公告方法
通常は官報か電子公告を選択することとなります。

・事業年度

・業務執行社員

・代表社員
設例ではAが代表社員となります。

 

商号調査

現在では、同じ場所に同じ商号の会社が既に存在する場合でなければ、設立登記自体は行えます。

ただ、既存の会社と類似した商号を使用すると商号使用の差止めや損害賠償請求の問題も生じることから、類似の商号についても調査します。

商号の使用が可能と判断できたら、この時点で会社実印を含めた会社の各種印鑑(いわゆる4点セット)を作成しておくと手続がスムーズです。

商号の調査はインターネットで行う事ができます。

⇒オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について(法務省公式サイト内)

参考記事

【会社設立】使用できない商号

 

②定款の作成

①で決定した会社の基本事項は、多くが会社の根本ルールである定款の記載事項となります。

設立事項を盛り込んだ定款を作成します。

【会社設立】定款の記載例 合同会社

サンプルが法務局公式サイト内にもあります。3-1「記載例」PDF6~7ページ。

⇒商業・法人登記の申請書様式 3-1 合同会社設立登記申請書(法務局公式サイト内)

 

登記申請添付書類の記載例

また、添付書類についても上記申請手続案内に掲載されています。

いずれも記載例であり、実際に設立手続を行うにあたっては会社の構成に合わせて作成する必要があります。

ただ、会社の所在場所については、市町村までの記載に止めるのが通常です。

自身で手続を行う場合、定款は書面で2部を作成します。

作成後、社員が署名し、個人の印で押印します(認印可)。定款末尾の「有限責任社員 ○○○○ 印」の部分です。

書面で作成した場合、印紙代4万円が必要となります。

 

③資本金の払込

定款の作成が終わったら、代表社員の個人口座に出資額を振り込みます(法人口座はこの時点ではまだ作れません)。

後述のように払い込み証明書は必ずしも通帳のコピーでなくともよいのですが、後の出資の有無を巡るトラブルを回避するためにも、入金者の名前が記載される振込によるのが望ましいです。

参考

【会社設立】資本金の入金方法と払込ができる金融機関

 

④添付書類の作成

登記申請書に添付する書類を作成します。

作成するのは以下の書類です。

・社員決定書

・業務執行社員、代表社員の就任承諾書

・払込証明書

 

社員決定書

会社の設立事項のうち、定款で記載しなかった事項について決定した旨を記載します。

通常、定款では会社の所在場所は市町村までの記載にとどまるため、決定書に番地等を記載します。

例えば、定款では会社の所在地につき、「茨城県つくば市に置く」と記載されていた場合、決定書では本店所在場所として、「茨城県つくば市吾妻○丁目△番地□」等と記載します。

ほか、定款に資本金や、社員の出資義務の内容などの記載がない場合、これらも決定書に記載します。

社員が署名し、個人の印鑑で押印します(認印可)。

 

就任承諾書

業務執行社員、代表社員となる人の就任承諾書を作成します。それぞれの個人の印鑑で押印します(認印可)。

日付は定款作成日以降となります。

 

払込証明書

払い込み証明書は株式会社同様、通帳のコピーを用いる方法のほか、会社発行の領収書を用いる方法があります。

通帳を用いる方法

資本金の振り込み記録のある通帳の以下のページをコピーします。

・表紙-表紙裏

・見開き(名義人、口座番号等の記載のあるページ)

・振り込み記録のあるページ

払込証明書表紙→表紙-表紙裏→見開き→振り込み記録のあるページの順に4枚を重ねてホチキスで留めます。

現在は表紙、各ページ継ぎ目の押印は不要です。

日付は払い込みをした日以降となります。

 

領収書を用いる方法

様式に指定はなく、通常の領収書と同様で差し支えありません。記載例を掲載しておきます。

 

領収書

有限責任社員 A殿

金300,000円
正し、合同会社〇〇の出資金として

令和〇年〇月〇日

東京都千代田区〇〇〇〇
合同会社〇〇
代表社員 A ㊞

領収書は出資の履行がなされたことを前提に、その証明方法を株式会社よりは軽減するに過ぎません。出資の履行、払い込みが不要となるものではありませんので、ご注意ください。

 

⑤設立登記申請

設立登記申請書を作成し、6万円分の印紙を貼ります。

これに、定款、社員決定書、就任承諾書、払込証明書、印鑑届出書を添付し、管轄法務局へ設立登記の申請を行います。

 

印鑑届出も同時に

この設立登記申請の際、設立後の会社の実印となる印鑑(会社代表印の印影)も同時に届け出ます。

届け出のひな型も上の法務局リンク先にあります。

印鑑届書に必要事項を記入押印し、代表社員の印鑑証明書とともに提出します。

株式会社と異なり代表社員の就任承諾書に実印での押印は不要ですが、印鑑届け出には実印での押印と印鑑証明書の添付が必要となります。

会社代表印を押す場所と、個人の実印を押す場所とがあるので間違えないよう注意します。

 

申請先

申請先は会社の所在場所を管轄する法務局です。

⇒登記管轄(法務局公式サイト内)

通常は「設立予定の市町村名」+「登記管轄」で検索できます。

申請は直接窓口へ提出するほか、郵送、オンラインも可能です。

この申請の日、具体的には申請書類、申請データが法務局に到着し受け付けられた日が会社の設立日となります。土日祝日は設立日とすることはできません。

【会社設立】会社の設立日 土日祝日は不可

 

設立登記完了後

申請書や添付書類に不備がなければ、申請から1週間~10日程度で登記が完了します。

謄本等の取得

登記が完了したら、法務局で登記事項証明書(謄本)や、会社代表印の印鑑証明書を取得します。

登記事項証明書は登記完了後すぐに取得できますが、印鑑証明書は印鑑カードを作成した後に取得できます。

備え付けの印鑑カード交付申請書に必要事項を記入し、会社代表印で押印し窓口に提出。カードは5分から10分程度で作成できます。

申請書が備え付けられていない場合、窓口で貰うことができます。

カードが作成されたら、印鑑証明書を取得します。

なお、証明書の取得には代表者の生年月日の情報が必要ですので、代理人が行く場合は予め伝えておきます。

登記事項証明書と印鑑証明書の通数ですが、かつては原本の提出が必要だったものが不要となっていることもあり、2通ずつ取得で概ね足りているようです。

 

会社設立に関する参考記事

 

カテゴリ:会社・法人設立