原則は株主総会または取締役会

ほとんどの株式会社の定款には株式の譲渡制限の規定、すなわち、譲渡するには承認を要する旨が記載されています。

これは、経営上ふさわしくない第三者が介入してくることで会社の経営が阻害されることを防ぐためです。

 

会社法においては、株主総会(取締役会設置会社であるなら取締役会)が原則的な承認機関とされています。

原則通り株式総会(取締役会)を承認機関とする場合、定款の記載としては、「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する」という規定で足ります。

このような記載をした場合、会社の機関変更により承認機関が変わっても、一定の場合は変更登記は要せず、費用を節約することができます。

例えば、取締役会を設置していなかった会社が取締役会を設置したため承認機関が取締役会に変わった、あるいは、取締役会を設置していた会社が取締役会を廃止した、解散したため承認機関が株主総会に変わった場合などです。

これに対して「株主総会の承認を要する」「取締役会の承認を要する」と記載していた場合は承認機関の変更登記が必要となります。

 

株主総会・取締役会以外を承認機関とすることもできる

他方、株主総会(取締役会)以外の機関を承認機関としたい場合、その旨を定款で定めることができます。

例えば、代表取締役を承認機関とすることもできます。

 

ただし、会社の決定とはいえないような定め方はできないと解されています。

会社と無関係の第三者が承認機関となる場合などが挙げられます。

 
また、一定数の株式の譲渡についてのみ承認を要するとすることは株主平等原則に反し、できないと解されています。

例えば、1000株以上の株式譲渡については会社の承認を要するとする規定を設ける場合です。

 

承認と看做す旨の規定

なお、株式の譲渡について、一定の場合は承認したものと看做される旨の定めをすることはできます。

株式の譲渡制限の趣旨は経営に好ましくない第三者の介入を防ぐことにあるので、既に株主になっている者が更に株式を取得する分には差し支えないという場合もありえます。

そのような場合、「当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては、当会社が承認したものとみなす」という規定を設けることが可能です。