一般社団法人設立の流れ
一般社団法人設立というと一般的な会社よりも設立が難しいという印象を受けるかもしれません。ですが、基本的には株式会社と同じといって差し支えありません。本サイトの株式会社設立手続のページをご覧いただいた方は、殆ど一緒じゃないかという印象を受けるかもしれません。
役員・機関も、株主→社員 取締役→理事 代表取締役→代表理事 取締役会→理事会 監査役→監事 といったイメージです。
株式会社の設立は、大きく、以下の流れで行われます。
①設立事項の決定
②定款の作成
③定款の認証
④登記申請添付書類の作成
⑤設立登記申請
⑥登記事項証明書・法人印鑑証明書取得
以下は、社員がABの2人、理事がA1人の比較的小規模な一般社団法人を想定した設立の流れとなります。
あらかじめ用意しておくもの
(1) 社員、理事の個人実印
設例ではABの実印です
(2) 社員、理事の印鑑証明書
社員の人数分+理事の人数分。
設例ではAは社員分1通+理事分1通の計2通 Bは社員分1通です。
(3)会社の実印
後述の名称調査の結果、希望する名称の利用が可能と判断出来たら作成します。
①設立事項の決定
法人の名称、役員、機関構成など法人の基本事項を定めます。設例では理事会、監事は設置しないこととします。
・名称
・主たる事務所の所在地
・事業目的
・公告方法
官報、電子公告のほか、主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法も可能です。
・事業年度
・役員 理事、代表理事
・事業年度
名称調査
法人の名称、事務所所在地が決まったら、同じ場所に同じ名称の法人がないかを調査します。同一所在地に同一名称の法人がある場合は、残念ながら設立登記を行えません。
また、既存の法人と類似した名称を使用すると名称使用の差止めや損害賠償請求の問題も生じることから、類似の商号についても調査します。
名称の使用が可能と判断できたら、この時点で法人の各種印鑑(いわゆる4点セット)を作成しておくと手続がスムーズです。
なお、商号の調査はインターネットで行う事ができます。
⇒オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について(法務省公式サイト内)
参考記事
②定款の作成
基本的な設立事項が定まったら、これをもとに定款を作成して行きます。
一般社団法人の定款については、公証人連合会が記載例を出しています。
社員2人、理事1人の法人設立の場合、下記ページ「理事会を設置しない一般社団法人」の記載例が参考になります。
あくまで記載例なので、自分で定めた内容を反映させていきます。
自身で手続を行う場合、定款は書面で3部を作成し、設立時社員が署名し、個人の実印で押印します。定款末尾の「発起人 ○○○○ 印」の部分です。設例ではAとBが押印します。
なお、株式会社や合同会社と異なり、一般社団法人の設立においては、印紙代4万円は不要です。
③定款の認証
作成した定款は、公証役場で公証人による認証を受けます。この公証人は、新法人の本店所在地の管轄法務局所属の公証人となります。
茨城県に設立する場合は県内のいずれかの公証役場で、東京都に設立する場合は、東京都内のいずれかの公証役場で認証が可能です。
公証役場は、公証人連合会公式サイトの「公証役場一覧」から探すことができます。
認証に先立って、定款の素案をメールまたはFAXで送り、内容の事前チェックを受けます。場合によっては公証人から定款の内容の訂正を促されることもありますので、その場合は必要に応じて訂正を行います。
また、公証役場によっては、この事前チェックの際に定款の素案のほか、社員の印鑑証明書、身分証明書のデータなどの送信を求められることがあります。
事前チェックが終わったら、スケジュールを調整して正式に定款認証を受けるための予約をします。公証役場の混雑状況次第ですが、大体は3~4日内に認証を受けることができます。
事前チェックは受けていますが、何かしら訂正が必要となったときのため認証の際には実印を持っていきます。
④登記申請書および添付書類の作成
時間な余裕があれば、定款認証までに登記申請書とこれに添付する書類を作成します。
登記申請書、添付書類についても法務省がサンプルを出しています。
社員2人、理事1人の法人設立の場合、下記ページ「5-1 理事会及び監事を設置しない一般社団法人」の記載例が参考になります。
設例では、作成するのは以下の書類です。
・理事決定書
法人の設立事項のうち、定款で定めなかった事項等について決定します。
例えば、定款では法人の所在地は通常、市区町村までの記載にとどまるため(茨城県つくば市 東京都千代田区等)、決定書にその後の番地等を記載します。
決定書にAが押印しますが、こちらは認印でも差し支えありません。
・理事・代表理事の就任承諾書
こちらはAが実印で押印します。
⑤設立登記申請
設立登記申請書を作成し、6万円分の印紙を貼ります。
これに、定款、理事決定書、就任承諾書、印鑑届出書を添付し、管轄法務局へ設立登記の申請を行います。
印鑑届出も同時に
この設立登記申請の際、設立後の会社の実印となる印鑑(会社代表印の印影)も同時に届け出ます。具体的には印鑑届を登記申請書とともに提出して行います。
印鑑届書に必要事項を記入押印し、他の添付書類とともに提出します。
会社代表印を押す場所と、個人の実印を押す場所とがあるので間違えないよう注意します。
また、下部の「□市区町村長作成の印鑑証明書は,登記申請書に添付のものを援用する。」のチェック欄にチェックを入れます。
これにより、取締役の就任承諾書と印鑑届出書に添付する印鑑証明書を1通で済ませることができます。
申請先
申請先は会社の所在場所を管轄する法務局です。
通常は「設立予定の市町村名」+「登記管轄」で検索できます。
申請は直接窓口へ提出するほか、郵送、オンラインも可能です。
この申請の日、具体的には申請書類、申請データが法務局に到着し受け付けられた日が法人の設立日となります。土日祝日は設立日とすることはできません。
⑥設立登記完了 謄本等の取得
申請書や添付書類に不備がなければ、申請から1週間~10日程度で登記が完了します。
登記が完了したら、法務局で登記事項証明書(謄本)や、会社代表印の印鑑証明書を取得します。
登記事項証明書は登記完了後すぐに取得できますが、印鑑証明書は印鑑カードを作成した後に取得できます。
備え付けの印鑑カード交付申請書に必要事項を記入し、会社代表印で押印し窓口に提出。カードは5分から10分程度で作成できます。
申請書が備え付けられていない場合、窓口で貰うことができます。
カードが作成されたら、印鑑証明書を取得します。
なお、証明書の取得には代表者の生年月日の情報が必要ですので、代理人が行く場合は予め伝えておきます。
登記事項証明書と印鑑証明書の通数ですが、かつては原本の提出が必要だったものが不要となっていることもあり、2通ずつ取得で概ね足りているようです。
法人設立に関する参考記事