株式会社と合同会社の違い

経営権、利益分配

株式会社と合同会社の違いとして、例えば、株式会社は1株1議決権、すなわち、出資額に応じた経営権が得られるのに対し、合同会社は1人1議決権であるということが挙げられます。

出資額は小さいが優れたノウハウ、経験を持った人が相応の経営権を得ることが可能となります。

また、株式会社は出資額に応じて利益分配がなされるのに対し、合同会社は利益の分配も出資額に関わらず行うことが可能である点も挙げられます。出資額は小さいが優れたノウハウを持つ人により大きな利益分配を行うなどです。

無論、これらのことはより大きなリスクを負った多額の出資者に不公平となる可能性もあるので、分配の方法については慎重に定める必要はあります。

これらの違いは、株式会社、合同会社それぞれのメリット、デメリットともいえます。

 

ただ、合同会社は柔軟性が高く、定款の定めにより株式会社に近づけることができます。

定款で出資額に応じた経営権、利益分配を受けられるようにすることも可能です。

よって、会社の運営という点では両者にさほどの違いはないということはできます。

税務も株式会社と合同会社でさほど差異はないとされています。

 

知名度

ただ、合同会社の制度が導入されて15年以上が経ちますが、やはり「合同会社って何?」という方は少なくありません。

株式会社に比して信用性に今一つ劣る点は否定できないため、とりあえず信用性のある(無難な)株式会社にという方が多いのが実情です。近時でも会社設立件数の7割程度が株式会社となっています。

 

新規出資の方法

取引先が増え、事業規模が拡大していく過程で、会社に対して出資をしたいという要望を受ける事があります。この出資の方法として新株発行が希望されることがあります。

当然、合同会社は株式を発行することはできません。

そこで、これを契機に合同会社が株式会社に組織変更するという事もあります。

いったん合同会社として設立した会社を株式会社に組織変更することは可能ですが、改めて費用(実費で10万円~)と数カ月の日数を要することとなります。

 

上場

株式会社と異なり、合同会社は(当然ですが)株式市場に上場することはできません。

もし上場を希望するのであれば、前記同様、株式会社に組織変更することとなります。

 

設立費用

株式会社は定款認証、登録免許税でおよそ20万円、合同会社はおよそ6万円の実費がかかります。定款を書面で作成するのであれば、プラス万円となります。

初期費用としては合同会社の方が低廉となっています。

ただ、後から株式会社に組織変更すると実費で10万円~の費用がかかるので注意が必要です。

なお、司法書士に設立手続を依頼するのであれば、これに報酬が加わります。

 

では、株式と合同、どちらを選ぶ?

結局は事業をどのように行っていきたいかによるということとなるため、一律に基準を示すのは難しいと言えます。

どちらを選ぶか、極めて大まかに言えば、取引先を増やし事業規模を拡大していくのであれば株式会社。上場を考えている場合も同様です。

あまり事業拡大を志向せず、例えば家族経営やこれに近い形で地域密着型の事業を営んでいくのであれば合同会社も選択肢になってくるといえます。

 

参考

株式会社に比して自由度が高いとされる合同会社ですが、株式会社より手続が面倒な点もあります

合同会社のデメリット 役員変更が面倒