定款記載例 株式会社

以下は、取締役若干名、監査役等は設置しない比較的小規模な株式会社の定款記載例となります。

 

株式会社○○定款

第1章 総 則

(商号)
第1条 当会社は、株式会社○○と称する。

会社名を定めます。同一所在地に同一商号がないかを確認します。

【会社設立】使用できない商号

(目的)
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1 ○○
2 △△
3 □□
4 ××(省略)
5 前各号に附帯関連する一切の事業

会社が行う予定の事業目的を記載します。直ちに行わなくても将来的に行う考えがあるものを含めても差し支えありません。

【会社設立】事業目的はいくら記載してもよい?

(本店所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都○○区/△△県□□市に置く。

会社の所在地を定めますが、通常は最小行政区画(市区町村)までの記載とします。その場合、同一市区町村内で本店移転した場合に定款変更が不要となります。

(公告方法)
第4条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。

第2章 株 式

(発行可能株式総数)
第5条 当会社の発行可能株式総数は、2000株とする。

将来新たに発行できる株式の上限を定めます。制限はありませんが、設立時の発行株式の10~20倍程度とすることも多いです。設立時の発行株式が100株、資本金100万円であれば10倍の1000株あるいは20倍の2000株とする等です。

(株券の不発行)
第6条 当会社は、その株式に係る株券を発行しない。

現在は株式は発行しないのが原則となっています。発行を希望する場合はその旨を定める必要があります。

(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、当会社の承認を受けなければならない。

株式譲渡の承認機関は、株式総会、取締役等とすることもできます。

株式譲渡制限の規定の記載

(相続人等に対する売渡請求)
第8条 当会社は、相続、合併その他の一般承継により当会社の譲渡制限の付された株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。

株主が死亡した場合、その株式は相続の対象となるため、相続により会社に好ましくない人物が株主となり会社に介入してくる可能性があります。そのような場合に備えて相続人に株式の売り渡し請求をできるようにしておくことも可能です。

(株主名簿記載事項の記載又は記録の請求)
第9条 当会社の株式の取得者が株主の氏名等の株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求するには、当会社所定の書式による請求書にその取得した株式の株主として株主名簿に記載若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と株式の取得者が署名又は記名押印し、共同してしなければならない。ただし、法務省令で定める場合には、株式取得者が単独で上記請求をすることができる。

(質権の登録及び信託財産の表示の請求)
第10条 当会社の発行する株式につき質権の登録、変更若しくは抹消又は信託財産の表示若しくは抹消を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印してしなければならない。

(手数料)
第11条 前2条の請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。

(株主の氏名等の届出)
第12条 当会社の株主及び登録株式質権者又はそれらの法定代理人若しくは代表者は、当会社所定の書式により、氏名又は名称、住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。届出事項を変更したときも、同様とする。

(基準日)
第13条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
2 前項のほか必要があるときは、取締役の過半数の決定によりあらかじめ公告して臨時に基準日を定めることができる。

第3章 株主総会

(招集)
第14条 定時株主総会は、毎事業年度の終了後3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要がある場合にはいつでも招集することができる。

(招集手続)
第15条  株主総会を招集するには、株主総会の日の1週間前までに、議決権を行使することができる株主に対して招集通知を発するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、株主総会は、その総会において議決権を行使することができる株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

取締役会が設置されない会社なので1週間より短縮も可能です。

(招集権者及び議長)
第16条 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除くほか、取締役社長が招集する。
2 株主総会の議長は、取締役社長がこれに当たる。ただし、取締役社長に事故があるときは、当該株主総会で議長を選出する。

(決議の方法)
第17条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。

(決議等の省略)
第18条 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。

(議決権の代理行使)
第19条 株主が代理人をもって議決権を行使しようとするときは、その代理人は1名とし、当会社の議決権を有する株主であることを要する。
2 前項の場合には、株主又は代理人は、代理権を証する書面を株主総会ごとに提出しなければならない。

(議事録)
第20条 株主総会の議事については、開催の日時及び場所、出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く。

第4章 取締役及び代表取締役

(取締役の員数)
第21条 当会社の取締役は、〇名とする。

上限、下限、いずれもありません。「1名以上とする」「10名以内とする」などの定め方も可能です。

(取締役の選任)
第22条 取締役は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については累積投票によらないものとする。

(取締役の任期)
第23条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

非公開会社では取締役の任期は10年まで延長することができます(原則は2年)。10年は上限なので5年とする等も可能です。

【会社設立】取締役の任期の定め方

(代表取締役及び社長)
第24条 当会社の取締役が1名のときは、その取締役を代表取締役とし、当会社に複数の取締役を置くときは、取締役の互選によってこれを定める。
2 代表取締役は、社長とし、会社の業務を執行し、会社を代表する。

(取締役の報酬及び退職慰労金)
第25条 取締役の報酬及び退職慰労金は、株主総会の決議によって定める。

第5章 計 算

(事業年度)
第26条 当会社の事業年度は年1期とし、毎年〇月〇日から翌年〇月末日までとする。

(剰余金の配当)
第27条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して行う。

(配当の除斥期間)
第28条 剰余金の配当がその支払の提供の日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払義務を免れるものとする。

第6章 附 則

(設立に際して出資される財産の価額)
第29条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金〇〇万円とする。

(成立後の資本金の額)
第30条 当会社の成立後の資本金の額は、金〇〇万円とする。

(最初の事業年度)
第31条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和○年〇月末日までとする。

(発起人の氏名等)
第32条 発起人の氏名、住所、設立に際して割当てを受ける株式数及び株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
東京都○○区△△町1丁目2番3号
発起人 A  〇〇株、金〇〇万円
〇〇県○○市△△4丁目5番地6
発起人 B  〇〇株、金〇〇万円

(設立時取締役等)
第33条 当会社の設立時取締役及び設立時代表取締役は、次のとおりである。
設立時取締役    ○○○○
設立時取締役    A B
設立時代表取締役
東京都○○区△△町1丁目2番3号 A

附則のうち、資本金、設立時役員は別途発起人決定書に記載することも可能です。

(法令の準拠)
第34条 この定款に規定のない事項は、全て会社法その他の法令に従う。

以上、株式会社○○設立のため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。

令和○年○○月○○日

発起人   A   印
発起人   B   印